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「君たちはどう生きるか」映画 ネタバレ感想-これからを生きる10代の子供達、そして大人になってしまったかつての子供達へ-

「君たちはどう生きるか」ロボット兵&宮崎駿監督&王蟲(オーム)

宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」は、初見では難解に思えてしまうのですが、起承転結のはっきりわかるポイントがあります。

それは、久石譲さんの曲の切り替わりタイミングです。 起:オープニング 火事のシーンから戦車、疎開前まで。 承:「君たちはどう生きるか」タイトルバックで、汽車の煙シーンから。曲の盛り上がりにグッとくる。 転:真人が母が自分へ残した「君たちはどう生きるか」を読み、夏子さんを弓矢を持って救出に向かうシーンから。承と同じ曲の盛り上がりでまたまたグッと来る。 結:大叔父様と真人の対決、決別シーンから。承転と同じ曲の盛り上がりで、一気に物語が結末へ。 エンドロール:米津玄師さんの地球儀 久石譲から米津玄師へバトンが渡る。

「君たちはどう生きるか」は、「君たちはどう生きるか」を少年時代に読んだ宮崎少年が、漫画家を志し、アニメーターとなり、ジブリという異世界の塔を作り上げ、13話の監督作品をギリギリのバランスで積み上げて来た物語を、「君たちはどう生きるか」という13話目の最後になるであろう遺言的な本作で、自身を重ねた真人に再度、異世界を冒険させ、成長させ、自身を投影した大叔父様を否定させ、現実世界に戻って行く物語。

そして、「ワレヲ学ブ者ハ死ス」「われを学ぶものは死す」の意味は、 「我に似せる者は生き、我を象る者は死す」(がににせるものはいき、がをかたどるものはしす)(師の教えを守りながらも創造を加える者は成長して、ただ真似するだけの者は消えていく。)から来ている。

この映画は、これからを生きる10代の子供達、そして大人になってしまったかつての子供達全てが、自身の人生を投影し、振り返る事の出来る素晴らしい作品です。

最後に、「君たちはどう生きるか」の扉絵にある「種を蒔く人」は 草花の種や野菜の種にしても、麦や稲の種にしても、種を蒔く人が先ず最初に良い種を選別し、それを蒔きます。最初から発芽しないような悪い種は蒔きません。 という事で、本作「君たちはどう生きるか」が宮崎駿監督が蒔いた種であり、本作を見て、それぞれの心の大地で発芽するかどうかは見た者次第なのかと思います。

監督自身は82歳にして、宮崎の崎を立さきに改名し、自身を乗り越えて行く、新たな決意を込めた作品にも思えます。


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